障害者雇用についての話題でよく上がるのが「法定雇用率」です。
企業には一定割合の障害者雇用が求められており、その割合は徐々に引き上げられています。
※ここでいう企業とは:
民間企業の法定雇用率は2.5%です。
従業員を40人以上雇用している事業主は、障害者を1人以上雇用しなければなりません。
(厚生労働省)
制度によって雇用の機会が増えてきたことは、間違いなく大きな前進ですが、
一方で最近は、「雇用率を達成すること」自体が目的になっていないか、という議論も増えてきたように思います。
特に最近は、上記のような視点から「障害者雇用代行ビジネス」や「農園型雇用」などが広がっています。
企業が外部サービスを利用・連携し、障害のある方に働く場を提供する仕組みです。
実際に、
・働く場が生まれている
・一般就労に困難さを抱える方の受け皿になる
・企業側のノウハウ不足を補うことができる。
という側面もあり、この仕組み自体を一概に否定することはできません。
しかし同時に、それは本当に「共に働く」ということなのだろうかという疑問もわきます。
障害者雇用促進法には、
「障害を持った方が自身の能力を発揮しながら、社会の中で共に働く」
という理念があります。※「」内は要約
*原文:
障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和三十五年法律第百二十三号)
令和7年10月1日
施行
第一章 総則 (基本的理念)
第三条
障害者である労働者は、経済社会を構成する労働者の一員として、職業生活においてその能力を発揮する機会を与えられるものとする。
つまり本来的には当然、「数字を満たすことだけ」が目的ではないはずです。
にもかかわらず、雇用率をはじめとした達成指標ばかりが先行してしまうことがあります。
これは障害者雇用だけの話ではなく、福祉業界全体にも通じるテーマだと思っています。
制度には必ず背景があります。
なぜこの制度ができたのか。何を守ろうとしているのか。社会に何を増やそうとしているのか。
そこへの理解がないまま、どうすれば「効率よく達成できるか」だけに向かってしまうと、制度の本来の理念とズレが生まれていきます。
私はよく、「制度ハックをしない」という話をします。
もちろん、制度理解をした上で加算取得など、経営としての数字を見ることも欠かせません。
しかしそれは、≪本来実現したい価値≫のためであるべきだと思います。
障害のある方と一緒に働くことは、効率だけで見れば大変なこともあります。
時間や手間がかかるような時もあるでしょう。
でも、その一見すると効率がよくないやりとりの中にこそ、本当に「共に生きる社会」があるのではないでしょうか。
福祉の仕事だけではないですが、どうしても数字はついて回ります。
件数、稼働率、加算、雇用率。どれも大切です。
ただ、本当に見るべきものは、制度利用やかかわりを通じて、
その人の人生がどう変わっているか。
働く意味を感じられているか。
社会との接点を持てているか(「ここにいていい」と思えているか。)
GIFTは、制度の理念への敬意を持ちながら、数字の先を見ることができる事業所でありたいと思います。
